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2026.01.26

連載・技術解説・セミナー

これから学ぶ方のための All about赤外線センサ<前編>

著者:Webジャーナル・センサイト編集部with生成 AI

※本原稿は生成AIの回答を参考に編集部でまとめたものです

第1章 赤外線技術の発展史とセンシング社会の幕開け

赤外線(Infrared Radiation)の発見は、1800年にイギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェル(William Herschel)によってなされた。彼はプリズムを用いて太陽光を分光し、可視光線の赤より外側に温度上昇を示す領域があることを見いだした。これが人類による赤外線の最初の観測であり、「見えない光」の存在が科学的に確認された瞬間である。

19世紀末の物理学者は黒体からの熱放射(特に赤外線域の放射エネルギーの振る舞い)を古典物理学で説明しようと試みたがヴィーン(Wilhelm Wien)の法則は短波長側、レイリー・ジーンズ(Rayleigh-Jeans)の法則は長波長側しか説明できず、全波長を説明できなかった。19世紀後半から20世紀初頭にかけてキルコフ(Gustav Kirchhoff)による黒体概念、ステファン=ボルツマン(Stefan-Boltzmann)の法則、プランク(Max Plank)の放射法則と量子仮説などが確立され、赤外線は熱放射としての体系的理解が進み、赤外線は単なる「不可視の光」ではなく、物体の温度と直接関係するエネルギー情報を担う物理現象として理解されるようになった。因みにステファン=ボルツマンの法則により黒体の温度が分かればどれだけの熱放射(赤外線)を出しているかが計算でき赤外線センサの温度計測原理の根幹となった。これの応用は物体が熱いほど、より強い赤外線を放出するという赤外線センサ・サーモグラフィの基礎原理になる。なお、普通の物体は黒体ではないので100%は吸収しないので補正が必要になるが、ここでは解説を省略する。

赤外線技術の応用が急速に進展したのは第二次世界大戦以降である。軍事目的としての暗視装置や熱探知ミサイルの開発が、赤外線検出器技術を大きく進化させた。特に、量子型赤外線検出器(InSb、HgCdTe など)は当時から今日に至るまで高感度な中赤外検出(MWIR検出)を支える中核技術である。

1970年代以降、半導体技術の発展により、熱型検出素子(サーモパイル、焦電型センサなど)が小型・安価に製造できるようになり、民生用赤外線センサが普及を始めた。これにより、赤外線は軍事・天文から産業・家庭へと応用領域を広げた。

現代では、赤外線センサはスマートフォンや家電、自動車、医療機器など、私たちの生活のあらゆる場面に組み込まれている。赤外線はもはや特殊な技術ではなく、「社会の感覚器官」として都市・産業・家庭を支える存在となったのである。

図1:赤外線技術の発展史と応用領域の広がり(模式図)

第2章 赤外線の物理的基礎と検出の原理

赤外線は波長0.7〜1000μmの電磁波であり、可視光線と電波の中間に位置する。波長領域によって以下のように分類される。

領域 波長範囲 主な応用
近赤外(NIR) 0.7〜2.5 μm 通信、分光分析、リモコン
中赤外(MIR) 2.5〜25 μm ガス分析、温度測定、医療診断
遠赤外(FIR) 25〜1000 μm 熱放射、環境モニタリング、天文観測

赤外線は「放射(emission)」「反射(reflection)」「吸収(absorption)」という3つの物理的挙動によって対象と相互作用する。赤外線センサはこのうち放射あるいは反射を検出する仕組みで動作する。

2.1 赤外線波長帯の分類について

赤外線の波長区分には、用途分野によって複数の体系が併存している点に注意が必要である。
本稿では分光分析・化学計測などにおいて一般的な近赤外(NIR: 0.7〜2.5 μm)・中赤外(MIR: 2.5〜25 μm)・遠赤外(FIR: 25〜1000 μm)の分類を採用しているが、赤外線イメージング分野、特に赤外線カメラ・軍事・宇宙用途では以下の分類が広く使われている。

区分 波長範囲 主用途
NIR(Near-IR) 0.7〜1μm 近赤外イメージング、可視補完
SWIR(Short-Wave IR) 1〜3μm 監視、識別、レーザー光源検知
MWIR(Mid-Wave IR) 3〜5μm 冷却型赤外線カメラ、ガス検知
LWIR(Long-Wave IR) 8〜14μm 非冷却型赤外線カメラ、熱画像

この分類は、赤外線イメージング素子の応答帯域(InGaAs, InSb, HgCdTe, マイクロボロメータ等)の“技術的境界”に基づいている点で、分光分析で用いられる区分とは目的と背景が異なる。
したがって、赤外線技術を議論する際には、「どの用途での波長分類を採用しているか」 を明確にすることが重要である。
「これから学ぶためのAll about赤外線センサ」の赤外線の物理的基礎と検出の原理として分光応用では分光・センサ物理を中心とするため NIR–MIR–FIR を用いるが、赤外線イメージング分野特に赤外線カメラ・軍事・宇宙用途)では SWIR–MWIR–LWIR が一般的である。

2.2 検出の原理

赤外線を検出する方法には、主に量子型(quantum type)と熱型(thermal type)の2種類がある。

区分 原理 主な素子 特徴
量子型 光子の吸収により電気信号を発生 InSb, InGaAs, HgCdTe 高感度・高速応答、冷却必要
熱型 赤外線の吸収で温度上昇を検出 焦電素子, サーミスタ, ボロメータ 常温動作、小型・安価

量子型センサは高精度な科学・産業用途に用いられる一方、熱型センサは家庭用機器など大量生産が求められる分野に広く採用されている。

2.3 赤外線の吸収と分光分析

赤外線は物質中の分子振動により特定の波長を吸収する。この特性を利用したのが赤外線分光法(Infrared Spectroscopy)であり、ガス分析・有機化合物分析・環境計測に広く用いられる。
例として、CO₂は4.26 μm付近、CH₄は3.3 μm付近に強い吸収帯を持つため、それぞれのガス検出器に応用されている。

図2:赤外線の波長域と主な応用領域(概念図)

このように、赤外線の基礎物理と検出原理は「エネルギーと情報を同時に観測できる」点に最大の特徴がある。赤外線センサは、光のように速く、熱のように確実に物体を捉える―まさに“光と熱の境界に立つセンサ技術”なのである。


第3章 赤外線センサの構造と主要タイプ

赤外線センサ(Infrared Sensor)は、赤外線を電気信号に変換するためのデバイスであり、光学系(赤外線を導く)・検出素子(赤外線を電気信号に変換)・電子回路(信号を増幅・処理)の3要素から構成される。以下に基本構造を模式的に示す

表1:赤外線センサの基本構造
構成要素 役割
赤外線レンズ(IR Lens) 目標物からの赤外線を集光し、検出素子へ導く
フィルタ(Filter) 特定波長のみを透過し、不要な外乱光を除去
検出素子(Detector) 赤外線エネルギーを電気信号に変換
前段アンプ 微弱信号を増幅し、ノイズを除去
A/D変換・処理回路 デジタル信号化・温度変換・閾値処理などを行う

赤外線センサはその検出原理により、大きく「熱型センサ(thermal type)」と「量子型センサ(quantum type)」の2系統に分かれる。
以下、それぞれの方式を詳しく見ていく。

3.1 熱型赤外線センサ(Thermal Type)

熱型センサは、赤外線を吸収したことによる温度上昇を電気信号として検出する方式である。
外部冷却を必要とせず、常温動作できることから、家電・医療・環境測定など民生用途で最も広く使われている。

(1) サーモパイルセンサ(Thermopile Sensor)

サーモパイル(熱電堆)センサは、複数の熱電対(thermocouple)を直列接続し、温度差に応じた起電力を検出する。
赤外線吸収膜で受けた熱が素子の一端に伝わり、他端との温度差を生じることで電圧が発生する。
応答は比較的遅いが、安定性が高く、温度計・体温計・非接触温度モニタなどに広く使用される。

特徴:

  • 非接触温度測定に最適
  • 応答時間:数十〜数百ms
  • 出力が高く、信号処理が容易
  • 代表メーカー:Melexis(MLX90614シリーズ)、Heimann Sensor(HTSシリーズ)
(2) 焦電型赤外線センサ(Pyroelectric Sensor, PIR)

焦電効果(Pyroelectric Effect)を利用する方式で、人感センサやモーション検出に多用されている。
温度変化によって生じる分極変化を電流として検出するため、赤外線の変化(動き)に敏感である。
静止物体には反応しないため、人の移動やドアの開閉検知に最適である。

特徴:

  • 常温動作・低消費電力
  • 応答は「変化成分」のみを検出(交流信号)
  • 防犯・自動照明・エアコン制御などで広く利用
  • 代表メーカー:OPTEX、Murata、Panasonic(NaPiOnシリーズ)
(3) マイクロボロメータ(Microbolometer)

マイクロボロメータは、赤外線カメラ(Thermal Imager)の心臓部をなすセンサである。
微細なサーマル素子アレイ(通常はVOx:バナジウム酸化物、またはa-Si:非晶質シリコン)を用い、赤外線吸収による抵抗変化を読み取る。

この技術により、赤外線画像をリアルタイムに生成できるため、産業監視・医療診断・消防・宇宙観測など、広範な分野で不可欠な要素となっている。

特徴:

  • 高解像度(例:640×480ピクセル)で赤外線画像化可能
  • MEMS構造により高感度・高信頼性
  • 冷却不要タイプ(uncooled IR camera)として普及
  • 代表メーカー:Teledyne FLIR、ULIS(現-Lynred)、Raytheon、NEC Avio

3.2 量子型赤外線センサ(Quantum Type)

量子型センサは、赤外線光子が半導体中で電子を励起し、電流変化を生じることを利用した方式である。
一般に熱型より高感度・高速応答だが、動作温度の制約が大きく、冷却(液体窒素など)が必要な場合が多い。

(1) 量子型フォトダイオード(Quantum Photodiode )

代表的な材料はInSb(インジウムアンチモン)やInGaAs(インジウムガリウムヒ素)で、特定波長(1〜5μm)領域で高感度に動作する。
中赤外域での分光分析やレーザー計測などに利用される。

特徴:

  • 応答速度:数ナノ秒〜マイクロ秒
  • 高感度・高S/N比
  • 冷却機構(ペルチェ素子または液体窒素)を必要とする場合あり
  • 用途:分光分析、ガスセンサ、光通信、宇宙観測
(2) 量子型検出器(Quatum infrared Detector)

光導型の一種で、赤外線照射によって半導体の抵抗が変化する性質を利用する。
材料としてはHgCdTe(マーキャドテルル、MCT)が広く使われる。
この方式は宇宙望遠鏡や高感度赤外分光装置に使用されており、現在も最高レベルの感度を持つ。

(3) 量子井戸赤外線検出器(Quantum Well Infrared Photodetector: QWIP)

量子井戸構造を利用し、特定波長にチューニングされた高性能検出器。
フォトンエネルギーを電子の量子準位間遷移で捉える原理であり、冷却型の高分解能赤外線カメラに使用される。
航空宇宙分野では、NASAやESAの赤外観測衛星に搭載されている。

表2:主要赤外線センサ方式の比較
種類 原理 特徴 主な用途 代表メーカー
サーモパイル 熱電効果 温度検知、安定性高 温度測定・体温計 Melexis、Heimann
焦電型(PIR) 分極変化 人感検知、低電力 防犯・照明制御 OPTEX、Panasonic
マイクロボロメータ 抵抗変化 高解像度・画像化 監視・医療・宇宙 FLIR、Lynred
量子型フォトダイオード 光電効果 高感度・高速 分光・分析 Hamamatsu、Teledyne
QWIP 量子井戸効果 高選択性・冷却必要 宇宙観測 NASA、ESA提携機関

3.3 検出システムの構成

実際の赤外線検出システムでは、単一素子だけでなく、光学系・信号処理系・制御系が一体となった構造を持つ。
たとえば、産業用赤外線温度監視システムは次のような構成を取る。

図3:産業用赤外線検出システムの構成例

このように赤外線センサは単なる素子技術にとどまらず、光学・電子・情報処理の複合技術として進化している。
次章では、これらの特性を活かした分野別の応用と利用目的について、実際の製品・装置・メーカー事例を交えて詳しく解説します。
次回に続く。

※本原稿は生成AIの回答を参考に編集部でまとめたものです。本原稿の記述内容に誤謬その他お気づきの点やご希望があれば編集部までお知らせください。